訪日客の宿泊は、どの地域へ向かっているのか。2026年3月の外国人延べ宿泊者数は全国計1,250万3,470人泊(前年同月比1.4%減)でしたが、地域別に見ると景色が変わります。東京・大阪・京都のシェアは2年連続で低下し、鳥取・茨城・福島では前年比5割を超える伸びが生じました。
本稿では、増減を国籍別の寄与まで分解し、記事公開時点からの見通しまで整理します。
なお「延べ宿泊者数」は、1人が3泊すれば3人泊と数える指標で、訪問した実人数ではありません。記事執筆時点の最新は2026年3月分です(4月・5月分は2026年7月6日公表予定)。
注目地域の今——北海道・東京・広島・鳥取
2026-03の実数・前月比・前年比を同時に評価
北海道
991,600人泊前年比では全国最大の17万3,870人泊増。一方、前月比は57万3,120人泊減で、冬季ピーク後の反動が大きい地域です。
東京都
4,122,720人泊実数は全国首位で、前月から40万7,420人泊増加。ただし前年比は28万5,590人泊減で、回復と前年割れが同時に見えます。
広島県
187,700人泊前月比75.7%増、前年比11.7%増と両方がプラス。小規模地域の高い伸びとは異なり、18万7,700人泊の規模もあります。
鳥取県
18,110人泊前年比95.6%増で伸び率首位ですが、実数は1万8,110人泊、前月比は12.8%減。年間では拡大した一方、3月単月は減速しました。
全47都道府県ランキング
最初に実数を表示し、前月比と前年比は見出しを開くと確認できます。自地域の順位と、増減を作っている国籍の確認にお使いください。
対象:2026-03/単位:人泊
実数外国人延べ宿泊者数 上位10開閉
表で見る
| 順位 | 都道府県 | 数値 |
|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 4,122,720人泊 |
| 2 | 大阪府 | 1,847,130人泊 |
| 3 | 京都府 | 1,136,630人泊 |
| 4 | 北海道 | 991,600人泊 |
| 5 | 福岡県 | 607,960人泊 |
| 6 | 沖縄県 | 439,410人泊 |
| 7 | 神奈川県 | 359,600人泊 |
| 8 | 愛知県 | 354,070人泊 |
| 9 | 千葉県 | 339,600人泊 |
| 10 | 広島県 | 187,700人泊 |
前月比前月からの増加数 上位10開閉
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| 順位 | 都道府県 | 数値 |
|---|---|---|
| 1 | 東京都 | +407,420人泊(+11.0%) |
| 2 | 京都府 | +340,500人泊(+42.8%) |
| 3 | 神奈川県 | +100,290人泊(+38.7%) |
| 4 | 広島県 | +80,890人泊(+75.7%) |
| 5 | 愛知県 | +53,480人泊(+17.8%) |
| 6 | 大阪府 | +47,640人泊(+2.6%) |
| 7 | 石川県 | +41,300人泊(+38.8%) |
| 8 | 千葉県 | +30,530人泊(+9.9%) |
| 9 | 熊本県 | +22,650人泊(+20.9%) |
| 10 | 山梨県 | +19,220人泊(+12.1%) |
前年同月比前年同月比の伸び率 上位10開閉
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| 順位 | 都道府県 | 数値 |
|---|---|---|
| 1 | 鳥取県 | +98.1%(+8,970人泊) |
| 2 | 茨城県 | +58.1%(+13,090人泊) |
| 3 | 福島県 | +55.6%(+14,980人泊) |
| 4 | 三重県 | +46.8%(+11,250人泊) |
| 5 | 高知県 | +42.2%(+5,330人泊) |
| 6 | 青森県 | +37.2%(+8,240人泊) |
| 7 | 宮城県 | +36.1%(+24,900人泊) |
| 8 | 長崎県 | +34.9%(+15,730人泊) |
| 9 | 新潟県 | +31.6%(+19,700人泊) |
| 10 | 埼玉県 | +23.5%(+5,350人泊) |
東京・大阪・京都のシェアは2年連続で低下
2026年3月の上位は東京412万人泊、大阪185万人泊、京都114万人泊で、3都府だけで全国の56.8%を占めます(上位5都道府県で69.6%、上位10で83.1%)。
同じ3月で比べると、3都府の合計構成比は2024年62.3%、2025年59.6%、2026年56.8%と低下してきました。東京都単独でも36.5%→34.8%→33.0%です。3都府がなお過半を占めるものの、比重の低下は2年連続で続いています。
2月→3月は「雪の北海道」から「都市・周遊」へ
全国計は2月から1.6%増にとどまりましたが、内訳は大きく入れ替わりました。東京・京都・神奈川・広島が増え、北海道が大きく減っています。
国籍別に分解すると、増加側は米国の寄与が大きく、東京で32万人泊、京都で15.4万人泊の増加でした。北海道の減少は中国20.7万人泊、韓国10.8万人泊、米国6.6万人泊が中心です。2月の雪・旧正月期に強い北海道から、3月に東京・京都を軸とした都市・周遊型の滞在へ比重が移ったと推測できますが、個々の旅行目的は宿泊統計から確認できないため、季節要因は推論です。
鳥取・茨城・福島は前年比5割超——立役者は韓国・台湾
伸び率首位の鳥取(95.6%増)は実数1万8,110人泊。増加8,850人泊のうち韓国3,680人泊、台湾3,120人泊で、7割近くを近距離2市場が占めます。茨城は74.5%増(中国・韓国・米国で計8,300人泊増)、福島は55.3%増で台湾だけで1万5,790人泊増えました。
増加数の首位は北海道の17万3,870人泊増で、台湾6.8万人泊、インドネシア1.9万人泊、香港1.7万人泊が伸びています。小さい規模から高い伸びが生じる地域と、大きな規模を伴って増える地域が併存しています。
なお全国計は前年同月比1.4%減で、東京28.6万人泊減、京都17.8万人泊減でした。三大都市の比重低下と一部地方の増加が同時に進んだ3月です。
今後の見通し
宿泊統計の最新は3月分で、本稿の公開時点(2026年7月上旬)とは期間が空いています。4月・5月分は2026年7月6日に公表予定のため、以下は公表前時点での当サイトの見通しです。
第一に、三大都市シェアの低下(2年連続)が4月以降も続くかが最大の確認点です。鳥取・茨城・福島などの伸びは韓国・台湾の寄与が中心で、両市場は5月の訪日全体でも過去最高を更新しています(5月の訪日外客数レポート参照)。送客源となる市場が伸び続けている以上、地方の宿泊の増勢は当面続く可能性が高いとみています。
第二に、中国市場の影響です。訪日全体では中国が2025年12月以降、前年比45〜61%減で推移し、5月は60.4%減でした。本稿でも2〜3月の北海道で中国の宿泊減少(20.7万人泊減)が確認されており、中国比率が高かった地域では4月以降も前年割れ要因として残る見込みです。
なお、これらは公開データに基づく当サイトの見立てであり、4月・5月分の公表後に地域レポートの続報で検証します。地域別の実績はダッシュボードの国×地域で確認できます。
次に確認する数字
- 4月・5月分の宿泊統計(2026年7月6日公表予定)で地方分散の傾向が続くか
- 自地域の増減を構成する国・地域別の寄与
- 訪日全体の市場構成の変化(中国6割減・19市場過去最高):2026年5月の訪日外客数レポート
算定方法
都道府県別の数値は、観光庁「宿泊旅行統計調査」(参考第1表 国籍別×都道府県別 外国人延べ宿泊者数)の2026年3月分から算出しました。「実数」は人泊の多い順、「前月比」は2026年2月からの増加数順、「前年同月比」は2025年3月からの増加率順です。国籍別寄与は、各都道府県・各国籍の同期間の人泊差を用いています。集計表の「その他」は、調査表上の区分として扱いました。
宿泊統計は速報値であり、今後の確定・改定により本文とグラフの数値が変わる場合があります。当サイトが公式統計を加工・集計しています。